Necker Cube

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寒い国からやってきた少年。(もしくは遠い記憶)

その少年は寒い国から運ばれてきた。
全身に火傷を負い、母国では治療出来ない状態で。
国交のない国での出来事故、一筋縄ではいかなかった筈だ。
けれど、その過程についてはさほど触れられることなく、ただ「人道的な措置」の一言で片付けられた気がする。
地元メディアはこぞって少年の話題を取り上げ、いつしか愛称で呼ばれるようになる。
その愛くるしさが人々の共感を呼び、多額の治療費さえ寄付で賄えたほどだった。
やがて治療が終わり、少年は帰国の途についた。
元気になって良かった。
心の底からそう思えた瞬間だった。

その後複数の子供たちが、治療の為この国に運ばれてきた。
少年の時同様、地元メディアはそのことを取り上げたが、悲しいかな、あの時ほどの盛り上がりはなかった。
善意の寄付も次第に少なくなり、治療費をどうするのかで議論が生まれるほどだった。
その子供が何を思っていたのか、今となってはわからない。
日本に来れば、どうにかなる。
そんな期待は無残に打ち砕かれたに違いない。
一連の騒動を思い返す度に、遣り切れない思いが胸を締め付ける。

 

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